OIは英語のOpen Intrestを省略したものです。日本語では未決済建玉や建玉などと呼びます。(建玉=たてぎょく)
OIの意味は信用取引やデリバティブ取引(先物など)で、買いや売りポジションを保有して決済されずに残っている契約のことを指します。
トレード的にいうとロング/ショートをまだ決済していない状態ということです。このOIを理解することはトレード上で非常に重要な意味を持ちます。
OI(未決済建玉)がトレードで重要な理由を理解する
OIがどうして重要か?それはこの4つの理由からです。
- 現物とは違う足が早いマネーで構成されている
- OIを保有するのにコストがかかる
- 将来の買い圧力、売り圧力になる
- 出来高やチャート以外から測れる相場の温度
1.現物とは違う足が早いマネーで構成されている
ビットコイン現物は購入後、いつまでに売らないといけないというような期限がありません。
利益が出ても損失が出てもずっと保有することができ、じっくりと待つことのできる種類の投資マネーです。
対して信用取引や先物などのポジションは足が早い投機マネーが多くの割合を締めます。これらはポジションを持った後の利益確定や、損切りが比較的早く行われます。
その理由を解説していきます。
2.保有するのにコストがかかるポジション
信用取引やデリバティブのポジションは保有するのにコストが発生します。
コストの種類は色々ありますが、日本の取引所であればレバレッジ取引に「建玉(OI)管理料」という名目で費用がかかります。
建玉管理料の0.04%/日がポジションを決済しない限り発生します。
建玉を維持するコスト以上の収益を出さねばならず、かつ長く保有すればするほどコストがかかる仕組みです。
例えば日本取引所の場合、建玉を翌日(深夜0時)に持ち越すと建玉管理料が発生する制度が基本です。よってトレーダーは日が変わる前に今のポジションを決済しようとします。
このようにレバレッジ取引は、利食いや撤退が早い足の早いマネーになる性質があります。
先物の場合
デリバティブ取引の一種に先物がありますがこれは保有し続けてもコストは発生しません。しかし将来の価格をトレードしているので基本的には現在価格より高くなります。
この高い分をプレミアムといいます。先物の場合はOIの維持にはコストがかかりませんが、このプレミアムを先に支払う必要があります。
また先物は定められた期日を迎えると清算になるため、やはり現物よりは足が早いポジションになります。
3.OI(未決済建玉)は将来の買い圧力、売り圧力になる
信用取引やデリバティブのOIは将来的に決済をしなければなりません。
- ロングポジション:将来ショートして決済する
- ショートポジション:将来ロングして決済する
よって市場のOIというのは将来の買い・売り圧力になる性質を持っています。
簡単に考えると今市場にショートのOIが1,000万円分ある場合、将来のどこかで1,000万円ロングされるということです。
ポイントはショートOIの1,000万円が時間をかけて増えたとしても、将来の1,000万円分の決済ロングがゆっくり行われる保証はないということです。
短時間でこの決済が行われることもあります。
具体的な例を挙げます。
2/13 22:05にBTCが30分で400ドル近くの高騰をしました。ショートポジションの決済(ロング)が連続で発生し、極めて短時間で価格が高騰した例です。
どうしてショートポジションの決済だと推測できるのかというとBitMEXのOIがそれを表してるからです。
上記はBitMEXの建玉表(OI)ですが同時刻に7000万ドルものポジションが減少しています。
大量のOI減少=大量の決済注文
今回はBTCが短期間で高騰しているためショートポジションの決済(ロング)が行われた、とこのように推測ができます。
OIは常に将来反対売買を行わないといけません。
そしてハイレバレッジであればあるほど少しの値動きで反対売買を迫られるため、相場の急変動時に極端な一方通行の値動き起こします。
今回の「無理やりな価格高騰」では高騰後の買いが続きにくい値動きと判断できます。
もちろんそのまま上昇していくこともあるので結果論です。
しかし上昇の裏にある本質を想像すると、高値圏からロングをしてしまう・・・というような不利なトレードを減らすことができます。
4.出来高やチャート以外から測れる相場の温度感
「トレードでは出来高が大切」というような言葉を聞いたことがある人も多いと思います。それは出来高が相場の活況を測る指標だからです。
それに加えてOI(未決済建玉)でさらに「相場の資金流入」を観測することができます。
例えば以下はビットコインの世界の取引所のOIを合算したチャートです。1月から急激に伸び、上昇トレンド入りした2月も順調に伸びています。
Aggregated open interest for Bitcoin futures has surpassed $5 billion on Feb. 13, according to data compiled by The Block. https://t.co/qnHn2h5K91 pic.twitter.com/bnCo7ywTl6
— The Block (@TheBlock__) February 14, 2020
出来高も同じように伸びますがOIの増加は取引所に証拠金を入金していることの裏付けになります。
どうしてか?
例えばこれからビットコインが上がると思った場合に多くの人がこういった行動をとります。
- 取引所に証拠金を入金する
- ロングポジションをもつ(OI増加)
※ショートから入るプレイヤーもいます
つまり1.の取引所に証拠金を入金している→相場への資金流入という裏付けになります。
OIの増加をするということは、それだけビットコインを「見ている人」が世界で増えてきているということが推測できます。
OI(未決済建玉)をトレードに活かすには?
このOI情報をトレードに活かしていく方法です「短期トレード」「中・長期トレード」に分類して紹介していきます。
ただしOIで全てがわかる!というものではなく、あくまでも要素の1つと考えることが重要です。
短期トレードでOI(未決済建玉)のここを見る
デイトレードや、数日単位スパンでみる短期トレードではOIのこの部分を見てみましょう。
- 短期間で急増、急減したケース
- 特定の価格帯に集中したケース
短時間で急増・急減したOI
この画像はBitMEXのBTC無期限契約のOIです。(黄線)OIの急増や、急減が価格の変動とリンクしているのがみて取れます。
OIの増加はは将来の反対売買をの滞留を意味します。
それを前提に、BitMEXのようなハイレバレッジ取引所で短期間にOIが上昇するということは反対売買による大きな値動の可能性も同時に上がっていきます。
特定の価格帯に集中したOI
以下はTaoTao社が公開しているユーザーの建玉表です。(OIのリスト)
緑棒がロングの総量です。明らかに買いポジションにOIが偏ってることが見て取れますし、また価格帯も集中しています。
繰り返しになりますがOIは将来の反対売買なのでこの緑棒の分だけ決済取引(ショート)が発生します。
この緑棒のロングOIを保有している人たちの立場で考えてみましょう。
105万円以上110万円の価格帯にもっともOIがありますね。ビットコインが調整相場に入り100万円から10%下落して90万円になったらどうするでしょうか?
この緑棒のポジションの大多数が損切りを自らするか取引所にロスカットを迫られます。
そうなった時にこのOIが同じ価格に溜まっていればいるほど、反対売買である売り圧力が非常に強くなります。
加えてロスカットの処理は取引所による強制清算なので価格がいくらであろうと売り注文を出します。
これが連鎖して大きな価格下落をまねく可能性があるということです。
よってこの特定価格にOIが集中している場合、仮にロングをするとしても損切りを浅くするなど防衛して思わぬ下落から身を守ろう・・ということができます。
おそらく世界全体で見てもこの緑棒のようなロングOIになっていることでしょう
このように特定の価格帯に集中したOIから想像してトレード材料にすることができます。
ショートが多く溜まっている時も一緒ですね。価格が上がれば反対売買のロングが誘発されて価格が上がるだろう、という想定が立てられます。
TaoTaoの建玉表はトレードレベルを上げるためにも毎日見ることをおすすめします。口座開設すればスマホからいつでもこの情報を見ることができます。
中・長期トレードでOI(未決済建玉)のここをみる
中・長期トレードでOIは相場のトレンドを判断する材料として使えます。
上記でも書いたようにOIの増加は基本的に資金流入・買いポジションの増加に繋がります。
一部の取引所ではなく世界全体の取引所のOIが堅調に増加するのであれば、上昇トレンドを形成していく可能性が高くなります。
上記2つはOIの推移とBTCチャートですが2020年に入って明らかにOIが上昇し、チャートも上昇トレンドを形成しつつあります。
ビットコイン市場への資金流入が感じられます。
よってこの勢いに立ち向かって中・長期のショートポジションを仕掛けようという判断はなかなか考えづらくなります。(短期の調整を狙うならありですが)
このように全体のトレンドを把握することで「上がりすぎた」「下がりすぎた」という値ごろ感より根拠のあるトレードができるようになります。
取引所によってOIの意味を考える
そのOIがどの取引所のものかも重要な要素です。
個人投資家のOIと、投資専門のファンドや機関投資家のOIでは情報の意味が異なってきます。
彼らはCMEやBakktなど専門の取引所でOIを構築し、その情報も公開されてます。
CMEはこちら。
Bakktはこちら。いずれも米国の機関投資家向けの取引所です。
機関投資家の中に大口が存在している可能性は高く、彼らのOIの増加量はビットコインの中長期の強気の表れか?という予想も立てられます。
もちろん圧倒的な資金でショートポジションを構築して市場を下落トレンドへ転換させる可能性もあるのでやはりこれだけではなく総合的に見ていくものになります。
過去のOI推移データ、出来高などの要素も合わせて予測していくのがいいですね。
以上がOIの解説とトレードへの活かし方でした。また別の機会にOIを参照できるサイトなどをまとめた記事を作りたいと思います。
手始めにはツイッターでこのアカウントをフォローしてOI動向をチェックしていくのがいいでしょう。
またTaoTaoの建玉表も更新頻度が高いのでおすすめです。